あっという間に3Sが終わってしまいました。恒例の振り返り記事です。
書きたい記事はたくさんあるのですが,そのどれもが下書きのまま……
月2 国語学特殊講義Ⅰ「日琉諸方言の文法」(小西いずみ先生)
2Aに引き続き,月曜2限は国語学。今期のテーマは格・情報構造・極性(肯定・否定)でした。
(この二項対立の是非はともかく)小西先生は国語学・日本語学プロパーというよりは言語学寄りな先生な(のだと勝手に理解している)ので,私にとってめちゃくちゃ面白い講義です。言語学概論とか,比較言語学を取りながら/取り終わっていると理解度がめちゃ上がると思います。
格変化のある言語ばかりをやっているので,格の話はやっぱり面白くて好き。
などとエラそうに言っておきながら,提出したレポートは我ながらけっこうヒドかったと思います。ごめんなさい。
毎回のコメントシートも「ちゃんと考えてから書こ~」と思って出し忘れがち。ごめんなさい。
月3 言語学特殊講義Ⅴ「言語類型論の基礎」(長屋尚典先生)
言語学概論の続きのような立ち位置の講義。
期末試験で評価です。せっかく古代ギリシア語(トゥーキュディデースのテキストから。いわゆる「部分の属格」)が一問出たというのに,書くべきことを書けず,悔しかった。
(記述が薄いのは,9月に書いているせい。面白い講義だったことは覚えています)
月4 英語学概論Ⅰ(渡辺明先生)
生成文法の基礎を学べる講義。(私にとっては)はじめての1番大教室。
今や珍しい,板書オンリーのオールド・スタイルな講義。句構造木は手書きの方が書きやすいから,たしかに理にかなってますね。教科書は渡辺明(2009)『生成文法』東京:東京大学出版会。随所にずいぶん辛口な記述があってビックリします。講義の大枠はこの教科書に沿っているので,最悪ノートが取れていなくてもなんとかなる気はします。
入門だから当然と言えば当然なんですが,回を追うごとに新しい概念が次々導入されていき,いったい自分がなんのためになにをどうしているのかわからなくなりがち。
2回ほど課題が出ました。紙で配布・次回に紙で提出のこちらもオールド・スタイル。
課題+期末試験で評価。試験はけっこう難しかったような……。
火4 言語学特殊講義Ⅹ「チベット=ビルマ記述言語学研究」(澤田英夫先生)
東京外大のアジア・アフリカ言語文化研究所のご所属。ご専門はロンウォー語。
チベット=ビルマ語派を対象に,いろいろな現象・概念(声調形態素,語類,接辞/接語,TAME,NPなどなど)がそもそもどういうもので,各言語でどのように実現しているかを見ていく講義。いろいろな言語・たくさんの言語データを扱う関係上,講義資料の情報量がとんでもなかったです。
声調のある言語をやったことがなかったので,序盤の声調の話はかなり「はえ~」という感じでした(小学生並みの感想)。
記述言語学・参照文法のスゴさと,分析の難しさを実感。
平常点+レポートで評価。一番大変なレポート課題だったかも。
水2 日本手話Ⅰ(小林信恵先生)
ろう者の先生による,音声言語を媒介しない直接教授法による日本手話の講義です。
初回のみ通訳あり。初回講義では,日本手話/日本語対応手話やろう者文化の概要が先生から説明されたあと,抽選が行われます。約50人→14人の非常に狭き門。なお,水3に同じ先生の同様の講義が後期教養(駒場)で開講されていますが,さらに抽選倍率が高いとの噂。
ゲストの先生がいらっしゃったり,Zoom上でのコミュニケーションのやり方を実践的に学んだりと,いろいろアクティブに参加できて楽しかったです。
言語の性質上,文法や単語を紙に書き留めにくいので,語彙を覚えるのが大変でした。ちゃんと復習しないと翌週には忘れてしまっている……。
平常点+レポート+期末試験などで評価です。
水3 言語学演習Ⅳ「野外調査法」(長屋尚典先生)
例年は言語調査を行っていたようですが,今年度は講義編成の都合から行われず。残念。
Sセメは,言語接触 (language contact) の教科書を読み進めながら,発表&議論する形式になりました。セメスター中に1回は発表を担当し,期末に動画レポートを提出する必要があります。
気合い十分だった私は発表を2回担当。バルカン言語連合のhave型完了,面白かったです。発表準備をしながら,欲しい資料がたいてい揃っている文学部図書館の偉大さを実感しました。
教科書としては,Adamou, Evangelia, Barbara E. Bullock, & Almeida Jacqueline Toribio. (2023). Understanding Language Contact. London: Routledge. (https://www.routledge.com/Understanding-Language-Contact/Adamou-Bullock-Toribio/p/book/9780367766597) が使用されました。
(わりと記述がテキトーな部分があったようななかったような……。IPAの [ɬ] と [l̴] の単純な取り違え?とか……)
言語学演習室,景色が良くて好きです。心が落ち着きます。
水4 アラビア語Ⅰ(榮谷温子先生)
非印欧語をやっておきたい+アブジャド (abjad)1を書いてみたいということで履修。
講義プリントと教科書の練習問題を使いながら進んでいく,オーソドックスな形式の語学の講義。人数も10人くらいでとっても落ち着いて学習できました。先生の板書がとても美しい。
教科書はいわゆる「赤本」(黒柳恒男・飯森嘉助(1999)『現代アラビア語入門』大学書林)。印刷の都合で母音記号がとっても見づらい。
アラビア文字,見た目の印象と異なり案外覚えやすい。ただ,統語法(語順)については書記方向が違うだけで頭がとにかく混乱して仕方がなかった。いやまあ,ただ右から左に書くだけと言えばそりゃそうなんですが……
期末試験で評価です。
木1 比較言語学Ⅰ(小林正人先生)
(私にとっては)Aセメスターのつづき。
1限開講なので,対面とZoomのハイブリッドで実施されました。回を追うごとに教室に余裕が生まれていました。
言語学概論と同じくらいけっこう重要な内容がたくさんあるので,ちゃんと学習することをオススメします(エラそうに)。期末試験もわりとしっかり出ていました。
教科書は(Aセメと同じ)Bybee, J. (2015). Language Change (Cambridge Textbooks in Linguistics). Cambridge University Press.[小川芳樹・柴﨑礼士郎監訳(2019)『言語はどのように変化するのか』開拓社]。講義内で配布されるのは英語版ですが,開拓社から邦訳版が出ています。6,000円と値が張るため,もし邦訳版を利用したい場合は,総合図書館や駒場図書館の蔵書を利用するのがおすすめです。ただし,複数の訳者によって翻訳されているため,一部の用語の訳が安定していません。(場所をメモし忘れましたが)明らかに誤訳と思われる箇所もあったので,ご注意を。
先生の訳読と,対面で受講している学生による1回につき1人ずつの発表などで進みます。
平常点(発表・課題など)+期末試験(対面)で評価です。
木2 言語学演習Ⅲ「ドラヴィダ語記述研究:テルグ語」(小林正人先生)
今セメで一番面白かった講義。言語調査の手法を実践しながら学ぶ演習です。
テルグ語 (Telugu, తెలుగు) は,ドラヴィダ語族 (Dravidian) 最大規模の言語で,インドのアーンドラ・プラデーシュ州 (Andhra Pradesh) およびテランガーナ州 (Telangana) の公用語です。話者数は全世界でおよそ1億人で,実は韓国朝鮮語やドイツ語(L1(母語)話者)くらいデカい言語です。表記体系はブラーフミー系文字でアブギダのテルグ文字 (Telugu script, తెలుగు లిపి)。
身近なところだと,大ヒットした映画『RRR』(2022年公開)が実は全編テルグ語!
インフォーマントとして日本在住のテルグ語母語話者の方をお呼びして,各回言語調査を行いました。
人称代名詞の言い方から始まり,TAME (Tense, Aspect, Modality, Evidentiality) に至るまで,いろいろな項目について調べていきました。
まずは英語で調査したい例文を考え,インフォーマントの先生にテルグ語に訳してもらい,「こういう言い方はできるのか」「どちらが自然に聞こえるか」といった追加調査を行うのが基本の流れです。
自分が知っている言語にない概念や区別の仕方があると調査の難易度がとても上がります。たとえば,「3人称単数は男性と非男性(女性・中性)を区別する一方,3人称複数では人間(男性・女性)と非人間(中性)を区別する」など,パラダイムが難しい……。
記述言語学の方法と,参照文法を作ることの大変さ・難しさを実感できるとっても楽しい演習でした。
テルグ語スピーチ(!)(対面 or 録画)で評価です。
集中 スラヴ語学概論(大山祐亮先生)
集中講義。スラヴ語を中心に((印欧語)歴史)言語学の概念や手法を学べる講義。なにより先生が楽しそうでした。
キリル文字を「なんとなく読みにくそう」というテキトーな理由で避けていましたが,この講義を取るからにはと事前に(Wikipediaを使って)学習。そしたらほとんどギリシア文字だった……。
- 原則として子音のみを表記し,母音の表記が必須でない文字体系。二次創作の検索避け(「pkmn」等)もある意味コレ。 ↩︎
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